好きな本を使っての勉強方法(精読)

「あなたとは距離を置きたいの。」

「え?」

「決心したのです。」

「どうした?なにがあった?」

「たのしくないの・・・あなたといても。」

「たのしくない?
たしかに、勉強というものは、楽しくないかもしれない。
けれど、厳しいトレーニングを積まないで、どうやって上手になれるというのだ?
ここまで一緒にがんばってきたじゃないか。
辛抱して鍛錬を積んで、今まで頑張ってきたじゃないか。
このまま、続けようよ。」

「もう、決めたのです。」

「もういちど、よく考えてみたまえ。」

「勉強することが
苦しい道だというのなら
長い道のりだというのなら
それならせめて
わたしのすきな本と一緒に勉強したいのです。
苦しい道を一緒に歩いて行くのは
あなたみたいな
堅苦しくて冗談のひとつも言わない冷血なブツ切れの腐ったカツオブシのかすみたいな退屈極まりない参考書じゃなくて
いや、言いすぎました、すみません
とにかく
あなたはよくまとめられた語学学習のための書き物なのだと思いますが
読み物として私にはひとつもおもしろく思えないのです。
わたしのすきな本。読みたい本。
わたしの選んだ本と、一緒に歩いてゆきたいのです。」

「なんてこった。そんなことができるもんか。
ははははは。とんだお花畑だな。
すきな本で勉強だって?やれるもんならやってみるがいいさ。
失敗して、そうしてわかるのだ。
おれの、参考書様の、すばらしさに気づくのだ。
すきにすればいいさ。」

「さよなら。」


あなたの勉強のパートナー
教科書、参考書、文法書、単語集、問題集・・・。
けれど、もし、それらのパートナーが退屈で
あなたがひとつもときめかないのなら
あなたのすきな本を
パートナーに加えませんか?

法律とか、技師の資格とか、そんなのではなくて
あなたは、せっかく、ことばを勉強しているのです。
ことばは無限に、海のように広がっているものです。
気持ちをのせて、だれかに伝えたい思いを乗せて生まれ
生きて飛び交っているものです。

外国語を身に着けるということは
そんな広大なことばの海を泳ぐ術を身につけるのことなのですから
「勉強」のためにととのえられたことばたちとだけ付き合うのは
例えれば小さなプール、いや、小さなお風呂で、泳ぐ練習をしているようなものです
ひろいひろい大海原を泳ぎまわる技術がどれだけ身につくでしょうか?

早い段階から、ことばの海の中で
自分のすきな本を選んで、テキストにして、勉強してみてはどうですか?

と、つぶやいていますが。

「じゃあ、どうやるんだよ。
どうやるんだよ、おかもとたろう。」

と、目玉をひん剥いておられる方の顔が思い浮かびます。

「かんたんな本を、辞書を引かないで
わからないところは飛ばして、どんどん読む
といっても、わからないとこだらけなんですけど?」

と、しょんぼりしている方のお顔が目に浮かびます。

すみませんでした。

「辞書を見ないでどんどん多読」
ができる
その前の段階の人のために。

また、かんたんな絵本なんかを多読しながら
もっと難しい本を多読する準備段階の人のために。

好きな本を使って勉強する、そのやりかたの一例を
ご紹介しましょう。

これは、わからない単語を一つ一つ調べて
「精読」していくやりかたです。

このやりかたは
不肖わたくしめ自身が英語の受験勉強でやっていたやりかたです。

この本でやってみましょう。

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知っている人には、テンションのはねあがる、胸のときめく本ですが。

ト・ミンジュン!ドラマ『星から来たあなた』のメインテーマ図書
韓国語の小説 エドワード・テュレインの奇跡の旅(愛をみつけたうさぎ)

まずは、本の最初の数ページを、コピーしてきます。
少し拡大してコピーをするほうが、余白に余裕があって、使いよいでしょう。

そうして、コピーのほうに、いろいろと書きこんでいきます。
本のほうは、「白文」のまま、何も書き込みしないようにしましょう。

さあ、読んでいきます。
まず、わからない単語は
いちいち、全部調べます。

パソコンでもスマホでも電子辞書でもなんでもよいですが
紙の辞書をパラパラ引きながら、一度引いたら蛍光ペンでチェックして、細いボールペンでいろいろメモを書き込んで、辞書をボロ雑巾のようになるまで使いこむ、というのが、先人たちの伝統的な作業ではあります。

ちなみに今は私はほとんど使いませんが(捨てましたが)
ありし日のわたくしめの辞書の写真を。

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きれいじゃのう~。
蛍光ペンのマークのないページが一ページもありません。

話を戻します。

例えば、こんなふうにします。

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本文の、わからない単語に線を引き、番号をつけます。

余白に番号をふって、辞書で調べて、意味を書きます。

これで、これが、あなただけの単語帳にもなります。
しかも、物語の生きた文章の中で覚えられるわけです。
読み進むうちに繰り返しまた出てくる可能性が高いので
記憶に定着しやすいです。

「よくつかわれる基本単語200」
などのエッセンス本だけで勉強するよりも
一見、遠回りのように思えますが
むしろこうやって、実際の生きた文章にあたっていって
そのなかで何度も目にすることばを
一個一個ひろって覚えて行く、というほうが
確実に身につきやすいですし、こっちのほうが実は近道だったりします。

そして、最終的な目標は、「白文」のほう、何も書いていな本を読んで
すべての意味が取れるようになる、ということです。

kouyaru02

白文を読んでいて、あ、この意味はなんだっけ?と思ったら
コピーのほうを見て確認できます。

発音をしっかりやりたい人は、もう一枚別にコピーして
それは発音だけをメモしていくとか、そんなもいいかもしれません。

最終的に、メモも何もない本を読んで、内容がわかるというのが目標なので
原本のほうは必ず、白文のままで読めるように、書き込みをせず、残しておきましょう。
本を汚さずに済むし、すばらしいです。

もうちょっとやってみましょうか。
次のページ。

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技としては、漢字語については〔〕とか【】のカッコをつけて
「この漢字の韓国語読みがこれか!」
と、わかるようにしておきます。必須です。

(※도자기のところの番号が③④てなってるのは、べつに意味はなくて、まちがえて③をダブってつけてしまったのにあとから気がついて、ぐちゃぐちゃーって訂正するのがいやだったので、適当に④を足して③④としただけです。)

それから、⑦이음새 のところみたいに、どんな言葉から派生した言葉なのか、とかがわかれば、文法的なメモもしておくとよいでしょう。

イメージがつかめましたでしょうか?

辞書を引かないでよむ、にチャレンジするための前段階の
「すきな本を使って勉強する」方法
こうしていけば、好きな本をテキストにして勉強ができそうでしょう?

まずは、すきな本を一冊決めましょう。
すきなほんの韓国語版がやりやすいかもしれません。

まずは、その本に出てくる語彙や表現は、全部わかる、もしくは90%わかる、文章の流れの中でならわかる、という具合になるのを目指します。

それは、一冊の本ですから、「テスト」に出なさそうな単語やいい回しもいっぱい覚えることになるかもしれません。「上級単語」として分類されるものもあるかもしれません。

でも、「テスト」に出ない言葉でもいいじゃないですか。テストに合格する目的で勉強を始めたわけじゃないでしょう?

特に子供向けの本に出てくる語彙なんて、試験に出なくても、子どもがふつうにわかるということですから、それこそ基本的な生活語です。
たとえば「お出かけ」はなんて言いますか、といわれると、たぶん、初級の「試験に出る単語集」には載ってないと思います。多くの学習者は「외출」と答えるかもしれないです。

けれど、子どもの本を読んでたら、たとえばおかあさんねこがこねこをつれておでかけ、というときは、나들이ということばがふつうに出てきます。

と、えらそうに書いてしまいましたが、例えばほかにも、テストに出ないけど絵本にはいっぱい出てくる擬音語とか擬態語とか、「子供の本はテストに出ない単語がいっぱい出るから読みにくい」という考えになるのはたぶん本末転倒なのではないでしょうか。
そんな言葉こそが、語学力のミネラルというか、たいせつな微量栄養であるような気がします。
テストにあまり出てきそうにない、でも、あなたの好きな本の中で使われていることば。
まんがを読んだらそんな言葉があふれているでしょう。
そんな言葉が、あなたの言語感覚を豊かにしてくれますし、1000人いれば1000人の語彙は違うわけですから、あなただけの語彙を増やしていけばいいわけです。

「あ、それなら、好きな本で勉強してみたいっ!」
と思うようになったあなたへ

韓国語の古本を無料で一冊、「こつこつ、ぜったい、がんばります」の誓いと交換で、さしあげる企画もあります。
古本のプレゼント~韓国語が上手になりたい人へ

そして、これから本を買うなら、日本一親切な韓国輸入本のネットショップ(と詐称している)、
NiYANTA-ROSE! にゃんたろうず nyanrou
があります^^ 別にここで買わんでもいいですけど。

そして、好きな本をテキストにして勉強する場合、
必要なのは、チェックしてくれる、「質問に答えてくれる役の人」ですね。

自分で調べるのは、時間がかかるし、いくら調べても、わからない点は、ぽこぽこ出てきます。

というわけで、近くに住んでいる韓国語の上手な先輩を探すなりして
あるいは、いまならなんかズームとかいろいろできましたから
先生役になってくれる人を、みつけてみましょう。

よい先生役、コーチ役の人が見つかったらいいですね。
幸運を祈っています。

⇒趣味で外国語が独学できる場をつくる

好きな本を使っての勉強方法(精読)」への2件のフィードバック

  1. こんにちは
    今年の6月に「中1国語教科書の作品を読む」の古本をいただいた、こつると申します。
    ブログを始められたのですね。うれしいです。
    今回の記事は、当時の私の心情、そのものです。教科書を離れるのは勇気がいるのですが、
    やってみると、とても心が楽になりましたし、実は近道だということがよくわかりました。
    そしてやはり、韓国語っていいなぁ、と感じます。

    これからもブログ楽しみにしています。

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