こんにちは。
仕事がら韓国のネット書店を毎日のようにチェックしていますので
いろんな韓国の情報に、薄く広く接することになるのですが
ときどき、妙に気になる本があります
「これは、なんとも気になる本だが、あんまり、売れないだろうな。」
と思いながら商品登録をしまして
あるとき、あるお客様の目に留まり
お取り寄せ注文をいただくことになれば
その本が韓国からやってきますので
「やあやあ、お目にかかれましたね。お会いしたかったです。」
と、本と対面することになります。
そんなうれしい 반가운 本との対面が、最近ありましたので、ご紹介します。
この子です。
그래, 안녕 – 이별한 당신을 위한 가사 컬러링북
そう、さよなら - 別れたあなたのための歌詞のカラーリングブック
一昨年から、塗り絵(大人の塗り絵、カラーリングブック)がちょっとしたブームになっていたようで
韓国では、「日常の疲れを癒す」「アートセラピー(芸術治療)」という謳い文句が目につきましたが
あの手この手で趣向を凝らした塗り絵が続々と出版されてきました。
そんなブームが落ち着いてから、しばらくたっていますが
今でもまだ、ぽつぽつと、新作の塗り絵が出つづけています。
そして昨年末、こんなキャッチフレーズで、この子が発売されたのです。
「別れを経験したことのある人たちのための塗り絵本です。」
この、微妙なねらい目。
まるで、ぶどう大福とか、カレーピザとか、漬け物パスタとか
メジャーなものが出尽くしたあとの
売れるかどうかはわからないけど
これはやってみたい、やってみる価値はある
売れ行きは二の次、これを世に出すことに意義がある
アイデア勝負の商品です
というオーラが感じられまして
妙に気になっていましたが
発売されて一か月、一冊の注文もなく
年が明け、この子の存在を忘れかけていたころに
初めて一冊のご注文をいただき
きのう、お目にかかることができました。
(すみません、売り物なのですが、この本の魅力をみなさんにお伝えするために、しばし、撮影させていただきます。大切に大切に扱います。お礼に、おまけの品を同梱させていただきます。)
「歌詞だけでも共感と慰めの伝わる別れの歌に
レリッシュさんの美しい絵が出合い、この独特な本が誕生しました。」
ごらんください、目次からしてこの気合の入れよう。
手抜きは一切なし。
この一冊の隅々まで、ひとつの世界観を、完成度高く表現するのだ、という意気込みを感じてしまいます。
これは、最初のほうの、色見本のページです。
「こんなふうに塗ってみてくださいね」、という、色つきのページです。
あみだくじ
そして次から次へと、
別れに関する曲の歌詞をちりばめた、別れをイメージさせるイラストの塗り絵ページが展開されてゆくのです。
見てください、ポットからカップへ注がれるお茶も、まるで涙のようだ。
この本を企画した人(人たち)の心情がうかがわれます。
いったい、この本を企画したあなた(たち)は
どんなことがあったから
どんな別れを経験したから
このような本を
こんなに力いっぱい
この一冊で芸術作品として昇華させるように
企画し、編集し、世に送り出したのでしょうか。
もう、この絵の人↑が、この本の企画した人の肖像画としか思えません。
そして、最後にはイラストポストカードがついています。
至れり尽くせり、盛りだくさんの
と、ここであらためて表紙の絵。
女の人が、夜に、屋根の上で一人で立って
月を支えている
このイメージは
あたおかですね。
なんとも詩的な、塗り絵の本、といっておきましょう。