幼児のワイは鼻水がよく出る子やった。
おうちでは、いつも鼻をかんでいた。
しかあああああし。
ようちえんに行くと、はなをかむということじたい、はずかしいのであった。
しかあああああし。
だからといって、鼻を垂らしているのはもっとカッコ悪いのである。
というわけで、ワイは、はなを、すすって、
そこで、のみこむのはきもちわるいから、
たんのようにして、くちのほうに移動させて、くちからはきだす、
という技を編み出したのだ。
そして、わいは、鼻水を、口にためておいて、べえええっと、はきだす。
それをはきだすのは、ちりがみでもいいし、トイレにいってべんきにはくのでもよいのだが、
そのわざを何度も繰り返し、習得し、駆使するようになっていった。
■妖怪たんはき
-得意技:たんをはく(実は鼻水)
そんな得体のしれない幼稚園児にワイはなったのであった。
さて、ワイは、年長さんになって、うめぐみに所属していた。
うめぐみは、2階の、いちばん端っこの部屋である。
ワイは毎朝いちばん早くに登園していた。
一人で部屋にいると、きまって、廊下にきいろいベレー帽がひゅーっと飛んできて、
そのあとで、かわのひろし、がドタバタと現れるのだった。
「くそー、きょうもまけたかー!」
と、自分が一番乗りではないことを、かわのひろしは、毎朝くやしがるのだった。
そして、
「かたてに、ピストル~♪」とか
「せめて~少しはカッコつけさせてくれ~♪」とか
沢田研二さんの歌を歌うのだった。
それから、二人で、輪投げの輪を転がして遊ぶ、というのが、朝のルーティーンであった。
さて、そんなある日のことである。
ワイは、例によって、鼻水が出てきて、それを、たんに変えて、口の中にためておった。
これが、やっぱり、長時間、口の中にとどめておくのは、苦しいのである。
それで、
「2階の廊下の手すりのむこうに、たんを、はきだそう」
と、よからぬことを思ったのだった。
そして、ワイは、廊下に出て、2階の手すりから身を乗り出して、
たんを、べええええっ!
と、外に、はきだしたのであった。
そして、わいは、そのたんが、ひゅーーーーーーっと、階下に落ちていくのを、見届けていたのである。
ワイの考えでは、たんは、ひゅーーーーーーっとおちていって、地面に、ぺしゃん、となるはずであった。
ところが、ちょうど、ワイがたんを吐いた方向には、鉄棒があったのだ。
そして、そのとき、ちょうど、その鉄棒で、女の子たちが、逆上がりをして、あそんでいたのである。
わいは、自分の吐いたたんが、ひゅーーーーーーっと、おちていくのをみていた。
下では、おんなのこが、さかあがりをしていたのである。
ちょうど、おんなのこが、地面をけりあげて、さかあがりをした瞬間であった。
スカートがめくれて、女の子の白いパンツが、空に向けて丸出しになった。
ワイの吐いたたんが、そのパンツに向けて、
ひゅうううううううーーーっと、
まるで吸い込まれるかのように落ちていって、パンツの真ん中に、ぴとん!と着地したのをワイは目撃してしまった。
はああああああああああああ!!!!!!!!
そうしてわいは、顔面蒼白になって、手すりから飛んで離れて、うめぐみの部屋に逃げ戻って、どきどきどきどきしていたのであった。ばれませんように、ばれませんように。
50年近くたってしまったが、
あやまりたい。
ほんとうに、あやまりたい。
(おわり)
3 件のコメント
そんな、偶然あるのですねー!計算しても中々成功しない技だと思います。あやまりたくても、そのチャンスを掴むのも難しくないですか?お近くに住んでいるとか、今でも連絡取れるなら別ですが。仲が良いと笑い話、そうでないと、、、
こちらの三人のしーくれっとにしておきましょう。
あやまりたい、と言えば今夏一つあったのですよ。義母宅で朝ごはんを作っている時に、だし巻きを作っていたんです。築40年は過ぎている昔のキッチンで、ガスコンロとキッチン台に隙間があって、そこに5つめの玉子の白身がするーって吸い込まれる様に落ちてしまったんよ!もう朝から冷や汗💦!直ぐに取り除きたくてもキッチン台を壊さないと取れないレベル。あぁ〜、何てこと!何て失態!義母に言うと、気にせんでいいと言ってくれそうな気もしたけど、雲行きがよろしくない時に何か思い出されてもなぁと思って、一先ずその場は言えず。でも、やっぱり黙っておくのはどうかと思い、その息子である旦那さんには告げてみた。まぁ、いいんちゃう。言わんでも!という返答が。少し気が楽になった気もするけど、帰省の度にこれから気になるわ〜。
ごめんね、お義母さん。ごめんなさい。
遠い未来で、私もお嫁さんから同じようなことがあるんかもしれんね。直ぐに乾いてくれますように!あぁ〜
あら、、、
それはお互いのためにお墓まで持っていきましょう、、、
私だったら「やったぜ!命中!」で終わりなんですけどね、、、
義母宅のお話も、義母嫌いなんで「ふん!してやったわ!」で終わりですね。万が一追求されても「あれれ〜?わかりませ〜ん!」で、終わり!
朝全然コメント出来んやったけどできて良かった☺️
それ、分かります〜。結婚したてはもう、もの凄く、大kiraiでしたから。声も、話す内容も受け付けない位に苦手でした。帰省が苦痛だったこともあります。同居している兄嫁も私と同様の気持ちです。でも、ある事がきっかけで随分と見方が変わったんです。でも、今だにエッ!となる時ありますよ。感覚の相違、価値観の相違はどこの嫁姑もあるのかもしれませんね。コメント嬉しかったです!ありがとうございます♪😊