これは小学2年生ぐらいのときかなあ。
公園で、ゆっくんとワイとで遊んでいてな、
「毒を作ってみよう」
ってことになったんやな。
子どもやから、魔法とか毒とかすきやんか。
いや、そんなこともないのか、子どもによるんかな。
とにかくワイとゆっくんはそんなの大好きやから
「毒を作ろう」
って話になったんや。
でもな、毒ってどうやって作るんや?
知識がなんにもないやんか。
とりあえず、アリが死ぬぐらいの毒をつくろうってなったんやな。
毒を作って、その毒をかけたら、アリが死ぬ。
それぐらいの毒を目指そうってなったんや。
それで、牛乳瓶を拾ってきてやな、まずは、泥水を入れたんや。
それからどうする?草をつんできて、すりつぶして入れるわな。
「おしっこ入れようか」
ということで、お互いちょっとずつ、おしっこ入れるわな。
もっと毒っぽいものないかな、といって探すわな。
近くにお堂があって、そこの線香の灰がたまっているの、持ってきて入れるわな。
かきまぜるわな。
毒っぽくなってくるわな。
そして、「アッ!」て、ゆっくんが言うわな。
犬のうんこを見つけたんやな。
「めっちゃええやん!」
って胸が躍るわな。
これ入れたら毒の完成や!
ってもんやからな。
それで、犬のうんこを入れて、木の枝で、ぐりぐりかきまぜるわな。
牛乳瓶の中に、立派な毒ができたんや。
それで、ワイらは毒の効果を試さねばならないからな。
アリを探すわな。
実験や。
アリをみつけて、つまみ上げて、牛乳瓶の中に落とすわな。
毒が効くことを期待して見守るわな。
でも、アリは平気なんやな。
死なないんやな。
「ぜ、ぜんぜん効かねえぞ!」
「おかしい!」
わいらは必死になって、アリを木の枝で、深く沈めてみるんやな。
それでもぜんぜん効かないんやな。
なんでや?
この毒、毒性が弱いんか?
おかしいなあ。
どろも、おしっこも、お線香の灰も、うんこも、入っているのになあ。
そのとき、どこからともなく、ともくんが現れたんや。
ともくんは、近所の、悪ガキや。
ゆっくんと同じ年やったかな?
ワイよりは二つ年上や。
「おまえらなにしよるんかー」
って、ともくんがあらわれた。
あ、やばい。
ってワイらは思うわな。
なんせ、こんなあほなこと、ゆっくんとワイやから、
へいきで、「おもろいわー」って思ってやってるけど、
ワイとゆっくんが「おもろいわー」って思ってやってることって
たいてい、ふつうの人から見たらヤバいことやからな。
どれだけ、大人に怒られたか。
「おまえはゆっくんと一緒におるとわるいことをする」
ってよくおこられていたからなー。
でもワイはゆっくんが大好きやったんやなー。
ゆっくんと一緒に遊ぶ時間、
あんなおもろい時間はなかったからなー。
で、ワイとゆっくんの、ふたりだけのおもろい時間に、
ともくんが現れたわけや。
ともくんはもちろん、毒の入った牛乳瓶に興味を持つわな。
「それなんじゃ?」
ワイとゆっくんはあせるわな。
いいわけせなあかん。
「ここに置いてあったんじゃー。ただの泥水じゃー。」
しかしともくんは鼻をひくひくさせて
「なんかくせえど。ちょっとかしてみい」
っていって、毒の入った牛乳瓶をワイらから奪ったんじゃ。
ワイとゆっくんは、息をのんだわ。
そして、ともくんは、牛乳瓶に鼻を近づけると、
毒のにおいをかいだんじゃ。
おもいっきり、毒のにおいを、鼻から吸い込んだんじゃろうな。
それからの数秒間のともくんのすがたを、ワイは忘れることができない。
ともくんは、
「オエエエエエ」
といって、白目をむいたんや。
そして、牛乳瓶を持った手を前方に突き出して、白目をむいて口を開いたまま、よろよろと倒れそうになりながら、前方に走って行った。
ワイとゆっくんは、ほんとうにハラハラして見守っていた。
「ぶりくせえ!これ、ぶりくせえ!」
といって、ともくんは涙を流して、毒をワイらに返してくれた。
そして、「ぶりくせえ。ぶりくせえ」といいながら、逃げるように立ち去った。
アリは殺せなかったが
ともくんは撃退した。
見てみい、ワイとゆっくんの毒は、さいきょうや。
なんやこの話。
2 件のコメント
おもしろ笑笑
言われてみれば毒とか回復薬とか作ったような記憶があるような無いような?
ともくんが飲まなくて良かった♡汗
「ぶりくせえ」初めて聞きました〜!
クレヨンしんちゃんの「ブリ、ブリ➖」と言いながらお尻を突き上げて走る時の掛け声を思いだしてしまいました。
とも君の顔が思い浮かぶようです。
それにしても、にゃんたとゆっくん作のpoison、効き目ありましたねー!