あんまり親しくもなかったんやけど
幼稚園のとき同じ組で、小学生になっても同じクラスになった、
もりちゃんというおとこのこがおったんや
ちなみにアクセントは、「もりちゃん」や。
「リカちゃん」と同じアクセントやで。
もりちゃんは、ひょろっとしてて、ほそくて、せがたかいねんなー、
そして、なんか、顔が異様にたてに長い子やったんやー。
もりちゃんは、ひとつ得意技を持っていて、
「みんな!しずかにしてっ!」
って、とつぜん、さけぶんや。
それがすごく切羽詰まった言い方だから、
その場にいるみんな、はっとして、しずかになるんや。
そしたら、その静寂を待って、もりちゃんは、
「プウ~」
とか
「ブッ!」
と、音を立てておならをするんやな。
これ、この犯行、何回も、何回も、もりちゃんはやってたんやけど、
みんなが忘れたころにやるんやな。
しかも、
「みんな!しずかにしてっ!」
の言い方が、毎回、迫真なので、
それは、もりちゃんにしてみたら、おならが出そうなときにとっさにやるアドリブ芸だから、
演技しようとしなくても、自然と必死さが出て、切羽詰まった感じになるんやろな、
「みんな!しずかにしてっ!」
それで、みんな、自動反射的に、はっとして、しずかにするんやな。
そして、
「プウ~!」
と、またまた見事に犯行は成功して、みんな、もりちゃんのおならの音を聞かされてしまうんや。
いま思えば、あれはあれで、名人芸やったなあ。
さて、クラスが変わると、「背高順」を決めていた。
あれって、今でもあるんかな?
今はなんか背の高さを気にする子もおるということで、なにかしらの配慮がなされていそうな気もするけど、
ワイらのときは、ふつうに「背高順」ていうのを決めて、体育、移動、集合写真なんかでは、背の順に並んでたわー。
背の判定は、先生がするんや。
ふたりの生徒を背中合わせで立たせて、
目視で、「この子のほうが背が高い!」
って決めていくんやな。
それで、もりちゃんは、だいたい、クラスで1番目か2番目か3番目に背が高いんや。
そのときのクラスでは、背が一番高いのは、沖くんやった。
「おおきい沖」
といわれていたほど背が高くて、これは文句なしで、沖くんが一番背が高い。
そいうことで、2番手争いが注目されたわけや。
もりちゃんと、もとなる。
どちらが背が高いのか。
これは注目の対決や。
そして、クラスのみんなが見守るなか、
もりちゃんと、もとなるの二人は、背中合わせで立ったんや。
その結果、
「もりちゃんのほうが背が高い」
と決着はついたんやけど、ふたりが背中合わせで立っている姿を見て、
みんな、ざわついて、爆笑したんや。
なぜなら、もりちゃんと、もとなる、
肩までの高さは、完全にもとなるのほうが高かったんや。
でも、頭のてっぺんの高さは、もりちゃんのほうが明らかに高かったんや。
つまり、もりちゃんは、頭の長さで勝ったんや。
それは、視覚的に結構なインパクトがあって、
まるで野球で8回まで8点差で負けていたのが、
9回で20点取って逆転したみたいに、
もりちゃんの異様な頭の長さで、
きれいに大逆転勝利が決していたんや。
クラスじゅう笑いの渦になって、なかには鼻水を噴き出して爆笑しているやつもいた。
「頭の長さで勝った!!!!」
って。
もりちゃんは、おしゃべりが面白かった記憶はひとつもないけど、
フォルムというか、存在自体がおもろかったよなー。
あ、あと、もりちゃんは校庭で、いきなり、よしだマルコメを上手投げしたことがあったなー。
それで、よしだは泣いたなー。あれ、なんの意味があったんやー。
2 件のコメント
頭が長いと聞くとおこのみ太郎のイメージしかないけどリアルの頭が長い人ってどんな感じなんだろう
なんにせよ、ヨシダが上手投げされて泣いてよかったです。
もりちゃん
おならぷぅー、面長、ヨシダを上手投げ、
インパクトある〜!