このエピソードは、「韓国人だから」という文化の違いの話ではないと思うんや。

山口市のザビエル聖堂のある亀山のふもとにワイの家があるんやが、その家に韓国からダニエルさんがやってきて、1週間ぐらい滞在して帰って行くことが、一年に一回ぐらいある。
山口市はそんな都会やないさかいに、地下鉄とかないねん。
それで、新幹線の駅から、ワイの家まで、車で30分ぐらい、ダニエルさんが来るたびに、ワイがスズキエブリイで迎えに行くんや。そしてダニエルさんが帰るときは、当然ワイが車に乗せて送ってあげるんや。
さて、ある年のことやった。
冬場やったな。
ダニエルさんが滞在して、次の日の夕方の便で、福岡空港から韓国に帰国や、という夜のこと。
「ワタ―、今日で最後や―。今回も世話になったなー。今夜は酒を飲もう―」
いうて、ワイら、家でお酒を飲み交わしたんやな。
コンビニで買ってきた、おつまみてきなものをあれこれ食べながら、ビールやら日本酒やらワインやらを飲んでいたんやが、途中でおつまみがなくなった。
それで、ワイが戸棚を探して、
「生ハムのようなかつおぶし」
という奇妙な食べ物を発掘して、それを食うたんや。
ダニエルさんはあんまり食わんかったんやが、ワイはけっこうむしゃむしゃ食うたんや。
しかし、それ、消費期限が切れとったんや。
それで、ワイ、魚介類に食あたりしやすい体質なもんでな、それがてきめんにあたってもうたんや。
酒の酔いとも相まって、その夜中から、ワイ、完全に食中毒症状が出て、嘔吐と下痢と発熱でたいへんや。
「あかん。これ明日、お昼から、ダニエルさんを車で送っていくの、無理かもしれん」
しかしまあ、回復するかもしれんしなー、と思いながら、ウトウトしてたら、夜が明けたんや。
ワイ、ふらっふらやったけど、ちょうどその日の10時からな、町内会の総会がある日やったんや。
朝はその総会に参加して、帰ってきて、ダニエルさんを連れて、途中でお昼ご飯を食べて、新幹線の駅に送ってあげるつもりやったんやな。
10時からの町内会の総会には、となりの家のおじさんの車に乗せてもらって、会館まで、一緒に行きまひょ、ということになっていたんや。
だから、「町内会いかなあかんわー」と思って、ワイ、ふらっふらになって、となりのおじさんの車に乗り込ませてもらった。
「えらいしんどそうじゃけど、だいじょうぶ?体調悪かったら、休んじゃったらええのに」
「いや、ワイ、二区の区長ですから、さすがに参加せんにゃあいけませんでしょう。いきます。のせていってもらえますか」
で、ワイ、しんだみたいにぐったりして「ううう」ってうめきながら、車に乗せてもらって、会館にはこんでもらったんや。
それで、会議室で、町内会の総会が始まったんやけど、寒くてなー、どんどんしんどくなってきて、途中でワイ、もう、しんどくてしんどくてたまらなくて、退室したんや。
そしてトイレに行って、トイレから出てきて、力尽きて、廊下の長机の上に倒れこんでしまったんや。
町内会のおんなのひとがきて、「大丈夫ですか?救急車呼びますか?」っていうてくれたんやけど
「いや、食あたりなんです。しばらくよこになってたらだいじょうぶです。」
って声を振り絞ってな、しばらく横になっておったんや。
ありがたいことに、毛布をもってきてくれて、それを体に巻いて、30分ぐらい横になってたら、すこし吐き気が落ち着いて、あるけるようになったんで、「かえります」いうて、会館を出て、家まで歩いて帰ったんや。
途中雨が降ってきて、ワイはまるで雪山で遭難した人のようになって、ゆっくりゆっくり、ひたすらあるいて、ほうほうのていで、家までたどり着いて、玄関でたおれこんでしまった。
そしたらダニエルさんが来て、
「わたー、どうした、だいじょうぶかー」
っていうねん。
「すみません。めちゃしんどいです。食中毒です。体が動かないから、ダニエルさん、今日はぼく車で送れないです。わるいけど、タクシーで新幹線の駅まで行ってください」
ていうたんや。
(つづく)
2 件のコメント
吉野家のやつか!
吐くまで飲まされたんやろ!いや、食中毒です!って会話を聞いた記憶がありますが、まさか町内会の集まりとも被っていたとは…災難でしたな…相当しんどかったでしょうに参加したなんて…流石ですな!
そんなことが、、、!
食あたりは辛いよー!
お水沢山のんで、梅干し食べて休んでください。