一匹目のねこは白ねこ
二匹目のねこは黒ねこ
三匹目のねこはトラねこである。
さて、
一匹目のねこが
「このよのなかは、『勝ち組』と『負け組』にわかれているそうだ。
『勝ち組』に入ればどんどん『勝ち組』になってゆき
『負け組』になれば時間がたつごとにどんどん『勝ち組』への逆転がムリになるらしいのだ。」
といった。
二匹目のねこが
「そうなんや。でも、ほんまかね。それだと『負け組』になったら、すくいようがないやないか。」
といった。
一匹目のねこが
「だから、ぼくは若いうちから『勝ち組』になれるように、せんりゃくをねって、がんばるのだ」
といった。
二匹目のねこが
「ようわからんけども。仮にほんとうに世のなかがそんなふうだったら、ワイはそういう椅子取りゲームみたいなのはすかんなあ。椅子がたりなければ、もうひとつ椅子を持ってくればええし、交代ですわったらええし、半分こして座ったりすればええと思うんや。おしりはちょっといたいかもしれんけど。」
一匹目のねこが
「そうはいっても、現実世界がそうなのだから。現実に合わせなきゃ。
『負け組』には、なりたくない。ぼくは『勝ち組』になるぜ!いまから『勝ち組』のオンラインサロンに入って、がんばるぜ!」
といった。
二匹目のねこは
「ようわからんけども。まあ、ほんまにそんな世のなかなら、わいも、『勝ち組』になろうとがんばるかなあ。でもワイは、そんな世のなかって、やっぱり、すかんなあ。仮にワイが『勝ち組』になれても、なんか、いややんかー。どこかに『負け組』がおって、いくら努力しても『負け組』からぬけだせないんやろ?その上に『勝ち組』の自分らがおるんやろ?だれかが勝てば、だれかが負ける。『勝ち組』『負け組』って、そういう世界観やんな?そんな世のなかってイヤやわあ。しあわせになりにくいよねえ。」
といった。
一匹目のねこが
「それは理想をいえばそうかもしれないけど、理想よりも現実をしっかり見ようよ。ぼくはリアリストなのでね。ぼくとかキミには世のなかを変えられる力がある?ないのが現実でしょう?自分の力の及ばないことを考えるのはやめて、自分にできることをする。現実がそうなのだから、現実にそって『勝ち組』になろうと努力する。それが最適解だね。」
二匹目のねこは
「ようわからんけども。『勝ち組』『負け組』に分かれているのが世のなかの現実だというのなら、じゃ、ワイも『勝ち組』になるよう頑張るわー。でも、生きていくうえで、この考えだけは持ち続けていくで。『この、勝ち組負け組がある世のなかは、ワイはすかん。競争もするけど協力もして、勝ち組も負け組のない、みんなでしあわせになれるような世のなかの仕組みを作っていく』このことはたえずめざしていたいわー。」
一匹目のねこは
「そう考えるのは自由だからいいけれど、しかし、どうやって変えられるというのかね。そりゃぼくも、みんながしあわせになれる世のなかのほうが理想としてはいいと思うよ。でも、具体案をしめせなくちゃ。実現が可能な具体的な方法がしめせないのなら、きみは口だけの『お花畑ねこ』と言われてしまいかねないよ。心配になるね。」
二匹目のねこは
「『お花畑ねこ』って、かわいいぜ!それはそうと、『勝ち組』『負け組』の世のなかで『勝ち組』になることに一直線に燃えているリアリストのキミでも、『みんながしあわせになれる世のなかのほうが理想としてはいい』って思ってるんやなー。そりゃそうかー。
おもうんやけど『現実』という言葉がちょっと居心地わるいんやなー。ちょっとだけ言い換えてみたらどうかしら。
『現実』ではなくて、『現状』やと思うんやな。勝ち組負け組がある世のなか、というのは。
『現状』は時間とともに変わるもんやからなー。
世のなかが変わってゆくときって、多くのねこたちの考え方も変わるやろ?
逆に言えば、多くのねこの考え方がかわるとき、世のなかが変わってゆくってことやろー?
じゃ、ねこたちの考えかたを変えればいいやん。
考えかたを変えるのはなんやろ。考える道具は、ことばや。
そしたら考えかたが変わるとき、使うことばも変わっているということや。
そしたら世のなかを変えるのは、ことばであり、ことばでつむぐ物語のようなものやんな?
ことばと物語にそった、ある考え方で行動するねこたちのすがたが、
「ああ、あいつらのやってること、ええやん。すてきやん。わいもやろか」
ってほかのねこたちに思えたら、そのことばと物語は、ひろがってゆくやろ。
だからワイは、勝ち組負け組みたいな世界観はやめまひょ、勝ち組負け組なんてないよのなかをつくるほうが、みんなしあわせになりやすいですよー、『現状』は変えられますよー、ひとりひとりの考え方が変われば、世のなか変わりますよー、ささえあって、たすけあったほうが、みんなしあわせになれますよー、みてくださいほらー、まずはワイがそれやりますー、っていうことを、たくさんことばにして、行動して、体現していくんやー。『戦争はなくならない。人間の業や』っていうけれどやなー、戦争はしない方が絶対いいやん!みんなの考え方がかわれば、ぜんぜん変わるよー、戦争のない世のなかはぜったいできるよー、って、ひろめていくんやー。決めた―。」
そこに三匹目のねこが現れて
「勝ち組とか負け組とかなんのこっちゃ。
うちにはようわからん。
おひさまぽかぽかしてたらそれでしあわせじゃ。」
といった。





