「木下のじいさんが倒れた。」 血を吐いて倒れた。入院してる、というので、病院にお見舞いに行った。 病室の前に名札がかけてあって「木下八喜十」とかかれていた。 病室に入ると「おーおまえかー」とベッドに横たわったまま、木下さ...
ふと見た川に、コイが泳いでいるとうれしい。気分がなごんで、ちょっと顔がほころんで、 「ああ、コイや」 と小さくつぶやいてしまう。 あれは、ボクシング部の夏合宿のときや。 海が近い田舎の森の草木に囲まれた古い宿舎。朝の走り...
新人戦のトーナメントのときのこと。その一回戦が、ワイにとっても、藤井にとっても、心躍る、デビュー戦やった。 ワイの試合の結果はと言えば、1ラウンドでまけたわー。 その前の日に、ほかの新人選手たちの試合を見ていたら、逃げな...
なぜ、その藤井の敬語が可笑しかったのか? まずはその背景にある「体育会系」の関係性に思いを巡らせてみるのである。 わたくし幼いころは「体育会系」的なものが苦手でしてー。だいいちに、べつに知らない人と競いたくなかったし、5...