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五十四粒目『学荘④』

さて、ういろうをもって、階段を上がって、はじめの部屋が7号室や。
ワイの部屋、3号室のま上に位置している部屋や―。

ドアの前まで来ると、部屋の中から歌声が聞こえた―。

♪さあかせえて、さあかせえて、もおもいいろ、とおいきい~

「桃色吐息」っていう歌やー。
裏声を巧みに使ってノリノリで歌うてはるわー。
なんか声かけづらいー。
部屋に引き返そうかなー。
いやいや、よきタイミングを見計らってノックしよ。

♪きいんいいろ~ ぎいんいいろお~ もおもいいろ とおいきい~

のところでノックしたった。

「だれっ!?」

て声がしたー。

「こんばんは。こんど三号室に入りました、わたなべともうします~」

そしたら戸が開いて、
黒縁メガネをかけた短髪で色黒で唇が厚くて目が細くて、
外見で判断するのはよくないことやけど、
これまでの人生で一度も異性にもてたことがなさそうな人が出てきた―。

「あああ!新入りの人ですかああ。ようこそいらっしゃいましたああ」

一目でわかる。第一印象でわかった。このひとは善良な人や。
1号室の中山さんは、善良な人には見えたけど、愉快なキャラを演じている感がありましたから、隠し持ったナイフというか、裏の黒い部分がどことなく感じられたものだが、
この人は掛け値なしでええ人や―。裏表がまったくなさそうやー。だって部屋で一人でノリノリで桃色吐息歌ってたもんなー。そんな人がわるいひとである道理がないよなー。

「ぼくは八木といいます~、ええと、おなまえは何でしたっけ」

「わたなべですけど、みんなにはだいめいとよばれていますので、だいめいとよんでください」

「それなら、だいめいくん、きみは競技ダンス部に入ることがきまりました」

「えええ!!???」

「はっはっは。学荘の住人は、競技ダンス部に入るのがしきたりなのです。
ぼくも、となりの部屋の前田さんに、強引に競技ダンス部に入れられました。
でも、結果、それは正解だった!
競技ダンスはめっちゃ楽しいぞ~。
だから、だいめいくん、きみも、今日から仲間や―。競技ダンス部に入ろう~。」

なんかようわからんことになってきたわー。

(つづく)

2 件のコメント

  • 桃色吐息、男性が歌うのも聞いてみたいなあ。八木さん、グイグイ来るねー!決まりました!、てザ・強引じぇんとるまんやん。個性的な人が揃ってるね!この先も楽しみやわ〜!

  • 桃色吐息、、、?

    ってなんぞや、、、?

    競技ダンス部、、、?

    ってなんぞや、、、?

    顔の特徴を聞くとまず二次元キャラクターを頭に思い浮かべるのは私がオタクだから?みんなそうなの?

    何も分からない、糖分足りてない、腹減った、酢豚食べたい、私はもう昨日から中華の口。

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