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十三粒目『ジョイのこと①』

ジョイがいた。

そのことをいつかは書き留めたいと
ジョイがいなくなってからずっと
思っていたけれど
ワイはこれまで書けなかった。
それは

「ジョイは
 ワシらの家にもらわれて来て
 ワシらと一緒に過ごして
 はたして
 しあわせだったのだろうか」

という思いがあったからで
そんな気持ちで
何をワイは書き留めることがあろうか。
そんな心のブレーキがかかるのであった。

けれど、
ジョイ、
ワイはもう決めたんやー。

ワイは、ジョイに会えてしあわせだったし
ジョイがもしいま
「飼い主ガチャ失敗やったなー」
と思うとしてもやな、
ええねん。
ジョイもワイを好きやったやんか。
わかっとる!

だから、だれに何と言われようとやな。

「ジョイさん、あなたは本当にかわいそう。
 あんな時代に生まれて、あんな犬生送って
 本当に、時代のせいともいえるし
 飼い主に恵まれなかったともいえるし
 さぞかし、お辛うございましたねえ」

と、だれかがいうとしても。
100万人が言うとしても。
ワイはジョイが好きやから。
世界で一番、ジョイの近くにおったからなー。
ジョイのことを書いてみることにしたわー。


小5の時やった。
クラスの女の子、ムーミンみたいな子やったなー。
ありていに言えばカバに似てたんやけど。
その子が「こいぬが産まれたけど、飼わん?」
っていうたんやなー。

それで、翌日かな、その子の家にいった。
庭に犬小屋があって
黄土色の毛の母犬がいたんやけど
見たこともないぐらい顔の長い犬やった。

「あ!いやや!」って一瞬思ったんやな。
犬を飼いたいとは思っていたけれど
こんな顔の長い犬のことは考えてもいなかったからなー。

でも、こいぬをみると、ほんとうにかわいかったんや。
黒に近い茶色で、みみがたれていて、ちいさくて、目がきれい。
こいぬやから、顔は丸かった。
母犬が顔が長いからって、こいぬが成長して同じぐらい顔が長くなるとは限らないし、
このこがおおきくなって、顔が長くなるのなら、それはそれで受け入れられる。
そう思えたんやー。かわいかったなー。

ワイはこいぬを抱いて、歩いて家に帰ったでー。
中学生のおねえちゃんも、かわいいかわいいしてたと思うわー。
高校生のお兄ちゃんも喜んでたんちゃうかなー。
覚えてないわー。
お父さんも、お母さんも、きっと歓迎ムードやったんちゃうかなー。
いや、それより、ちゃんと散歩に行きなさいとか、
そういうことを言われたかなー。

さて、その夜から朝にかけて、
こいぬはくんくんなき続けたんや。
それで、ワイも、お姉ちゃんも、起きだして、
こいぬの世話をしてたなー。
大丈夫大丈夫ってあやしてなー。
さみしいんやなーっておもったわー。
このこにはまだ、お母さんが必要なんやなーって。

それで翌日、いったん、カバ美の家に、母犬のもとへ、
こいぬを返したんや。
もうちょっと大きくなってから、また迎えに来ますっていって。

(つづく)





2 件のコメント

  • ムーミンみたいな子、しれぇーっとカバー美になってるやん!

    ジョイの犬生やいかに?!

    子犬って何であんなに可愛いんかなぁ。もう一度ウチの子、抱っこしてみたいな。

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