「スフィンクスみたいじゃな。。。」
と思って見ていた記憶がよみがえった。
校門を入って、何十年ぶりかに、講堂(体育館)の外観を見上げたときである。
毎年、お正月には、天神さまにたくさんの人が初もうでに訪れる。
「日本三大天神」のひとつとだいうことで、受験生のご家族を中心に、あっちの県からこっちの県から、たくさんの人が波のように押し寄せる。
それで、この数日だけ、近場の学校のグラウンドは駐車場と化すのである。
そうして今日、お正月にお散歩をしていたワイは、母校の小学校が駐車場になっているのを見て、
ふと思い立った。
「あ、今日は、変質者では?と疑われる心配なしに、小学校の校庭に立ち入ることができるすてきな日やん。」
それで、何十年かぶりに、わが母校の小学校の門をまたいで、なつかしい運動場をトコトコ歩き回ってみたのであった。
あれやこれやと小学生時代のさまざまなシーンが思い出されて、わたくしのハートはファンファンしたことだが、当時の少年のワイが目の前に立っているような気がしてきて、
「にゃんたよ、きみはな、これから
甲子園にも行けないし
渡辺二郎さんにあこがれてボクシングをするけれど脳細胞がたくさん死んでアホになるし
なんかわからんけど、となりの国のことばを話すようになるんやで。
そして、けっこんもしないまま、老いさらばえていくんやで。
どや、生きていくのがこわくなったやろ。
ちなみにノストラダムスの大予言は当たらんで。」
などと話しかけたりしながら、のんびり、運動場を一周したことであった。
そうして、歩きながら校庭の敷地をぐるりと取り囲んで植えられている松の並木を見ていると、ワタクシはふと、小学一、二年生のころにおこった、ある出来事を思い出したのである。
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その日、幼き少年のワイは、放課後だったか、掃除の時間だったか、松の木に登っては、飛び降りて、をくりかえして遊んでいたのである。
たしか井本くんといっしょに、代わりばんこに、松の木から飛び降りて、キャッキャいって、たのしく過ごしていたのある。
そして、飛び降りるときには、
「スーパーマーン!」
とか
「ウルトラマーン!」
とか叫んでいたのである。
たのしかったのである。
そして、その時、ワイは、
「キッコーマーン!」
と叫んだのである。
なんでこんなにハッキリそのセリフを覚えているのかというと
「キッコーマーン!」
とさけんで飛び降りたその直後に
事件が起きたからである。
そう。ちょうど、ワイが飛び降りたところに、
体のでっかい上級生、当時のワイからしてみれば、
サイみたいな
ごっついからだの五年生か六年生が
どどどどと走ってきていて
どーーーーーーん
と、ワイはダンプカーにはねられた仔猫のように
と、それはちょっと言い過ぎ比喩が適当ではなくてごめんなさい、
吹っ飛ばされてしまったのである
「あっ、ごめん」
とサイがひとこと言ったのは聞こえたが、そのままサイは走り去ってしまった。
「にゃんた!だいじょうぶか!」
といって、井本くんが駆けつけてきた。
ワイは、地面に伸びていて、
ううう、とうめきながらゆっくり目をあけると
目の前には青空を背景にして井本くんの顔があって
井本くんはかッと目をまんまるにして、
「ほけんしつ!」
とさけんだ。
そしてワイは井本くんに引っ張り起こされて
井本くんに手を引かれて
運動場を斜めにつっきって走った。
ワイは何が何やらわからなかったが
井本くんと一緒にはしっていた。
ぶつかった衝撃で口がへんであって
口をけがしたなーというのはわかった。
井本くんは走りながら
「せんせ~!救急車~!」
とかなんとか叫んでいたようであって、
すれ違う児童たちは走るワイらの姿を見て
「ひ~」
と、なんだか化け物をみたという感じの表情なのであった。
そして、ワイは井本くんに引きずられるようにして校舎に入ると
ドタバタと廊下を走って保健室の扉をガラッとあけた。
すると、保健室にいた児童たちがワイをみて
「ひええええ!!!」
「せ、せんせえ~~!!!」
「でたあ!!!」
「口から血はきよる~!!!!」
とおお騒ぎなのである。
ワイは
「え?ワイ、どうなんねん?」
とちょっと心配になったが、
ようするに、口の中をせいだいに切っていて、
口からだらだら血が流れていたのであった。
それから保健室の先生が来て
手当をしてくれたのであるが
まっ赤な血のインパクトがすごかっただけで
打撲と、口の中からの出血とで
そんなに大ごとではなかった。
しかしながら、ワイは上唇が腫れあがり、
ひん曲がってしまって
口もあけられないし、
しばらくはごはんが食べられなかった。
治りかけてきてからは
お匙をつかって、おかゆから、なんとか食べられるようになった。
そして、ワイはそれから数日の間は、
腫れあがってひん曲がった上唇のまま学校に通い、
給食もしばらく食べられなかったんじゃないかなあ
スプーンとおかゆを持参して、おかゆを食ってた気がする。
という苦闘の日々を送ったのであった。
そして何週間かたってだんだんと完治したのだが
完治するまではさすがにクラスのおともだちは
心配してくれて、はれものに触るように、ワイの外見については何も言わなかったのだが
治ってみると、おともだちも
「もう大丈夫じゃ」とおもったのだろう
口がひん曲がったときのワイの顔を笑いものにし始めて
「にゃんたこんな顔になっちょったよなー」
と顔まねされてケラケラ笑われたものである。
ワイは何にもいえまへん。
さて、そのおかげで、ワイは今でも、ちょっと口が曲がっているのだ。
それは写真に撮った時にてきめんにわかるのである。
「なんでにゃんたは写真に写るとき口をゆがめるんや?」
といわれるけれど、日頃からまがっとるんや。
動いてるから気づきにくいだけなんや。
この、下あごの曲がりと、左上の八重歯は、
あの時の「キッコーマンジャンプ」のせいだと思っている
そして、
「キッコーマーン!」
とさけんだときの
あのハイテンション。
羽が生えて空をも飛べるような調子にのった幸福なきもちが
サイのアタックをうけて
一瞬にしてみじめなケガ人になってしまった
「しあわせ⇒悲惨」の暗転感。
いまでも思い返せば
そのトホホな感じを
じんわりと味わえるのである。
そして
噛めば噛むほど味がでるスルメのように
「キッコーマーン!」
って、なんやねん。。。。
とかんがえると、おもしろいのである。






1件のコメント
え?そうなの?と思い写真ホルダーを見返しましたがろくな写真がなく…あまりよく分かりませんでした( ・᷄-・᷅ )
でも面白い?悲しい?体験でしたね。
天国から地獄のような…
キッコーマン!
ラッキーマン!