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百七十六粒目『ときめきがみえる眼鏡①』

「ひとのこころが読めたらいいな」

と思ったことある人、手をあげて。

「できた、できた。にゃんたさん、見てくれや」

と発明家の山口さんに呼びつけられて
家に行ってみたら

どれだけときめいているかを見れる眼鏡

を発明したというんや。

眼鏡、というか、ゴーグルというのか
そんなんつけてたら「あやしい」と思われることまちがいなしの
メカメカしためがねで、縁の色は赤に近いピンクやねん。

「なんでピンク色なんじゃ?」

と聞いたら、

「この色は、ハートをイメージしとるんや。」

まあまあ、かけてみんさい、いうからや、
なんかいやじゃのう、といいながら、かけたみたんや。

そしたら、山口さんの頭のてっぺんから、
ほわん、ほわんと、
赤っぽいピンクのハートが湧き出るのが見えた。
シャボン玉みたいに、ゆっくりただよって、すぐに消えた。

「頭からハートが出たで。」

山口さんはにこっとして、

「見えたか?そのハートが、ときめきを表しとるんや!」

「ときめき?」

「うれしい感情とかな、気分がええときの脳波をひろってな、
可視化するのがこの眼鏡や。
うれしい感情が大きければ大きいほど、
ハートがたくさん出るのがみえるで。」

「へえ。じゃあ、山口さんはいま、ちょっと、気分がええってことなんですな。
ハートがちょろっと出てますからな。」

「そうですねん、そうですねん。すごいでっしゃろ。
 ときめきが見えるメガネ、というわけや!」

そういって胸を張っている山口さんの頭頂から、
ピロピロピロン、と連続してハートが出た。

それから山口さんは、シュークリームと、エクレアをもってきた。

「これ食べるから、見といて!」

シュークリームにかぶりついた。

え?ワイのはないんでっか、と言いかけてやめた。

その瞬間、山口さんの頭のてっぺんから、
ぴろぴろぴろぴろぴろぴろぴろん、
と、ハートがあふれ出た。

「わ!いっぱいでましたで、ハートが。」

「ハハハハ。ぼくが、おいしい、と感じて、ときめいているってことですわ!」

つぎに、山口さんはエクレアを手にすると

「一番すきなのはエクレアですねん」

といって、エクレアをほおばった。
エクレアが口に入る前から、フライングで、
ぴろぴろぴろぴろぴろぴろぴろん、
とハートがあふれ出た。

なるほど、シュークリームの時よりも、
勢いよくハートが噴き出している。

「おもろいですな。」

「そうでしょう。
ほんでも、ぶっちゃけますと、まだ、なかなか精度が、よくありませんねん。」

「精度が?」

「いまみたいに、おいしい、というときめきに対してはちゃんと見えますねん。
でも、まだなんか、ときめき全般に関していえば、正確じゃないんですなあ。
誤作動しとる、としか思えないときがありますねん。」

そのとき田中さんのうちのハチワレねこのミャーが来た。

(つづく)

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