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百五十三粒目『まゆ先輩との再会⑤テグ1998年6月~ミン先生、テグ散策、まゆ先輩との出会い』

さて、次の日になって、晴れた日やー。どこか忘れたけど、東大邱駅でかな、待ち合わせて、ミン先生におうたわー。
ミン先生はそのとき40歳ぐらいかな。細身で眼鏡をかけていて、だれに似てるかなあ。スネ夫。いやいや、それは失礼やわ。ぜんぜんちがうし。だれだろう。ねずみ男。それもちゃうな。失礼や。ぜんぜんちがうし。そうやなあ、スネ夫を実写化して大人にならせてねずみ男を足して二で割ったようなかんじ?そんなイメージなんやけど、いやそれもちがうな。失礼や。シュッとしていて、細身で、学者さんタイプの、クールな感じのオジサマやったわ。日本語でしゃべってくれてありがたかった。新たな出会いはうれしいなー。あのときは、ほんとうに、いきなり訪ねて、ご迷惑おかけしまして、いろいろと案内していただいて、たすかりました。お忙しかったと思いますのに、ありがとうございました。

まずは、なんか、お茶飲もうぜってことで、どっかの大きなホテル、「グランド大邱ホテル」かしら、の一階のロビーつづきの喫茶室に行って、ミン先生はコーヒー、ワイはホットの紅茶を頼んだわー。

その喫茶室は、庭に面してガラス張りになっていて、外には芝生の広い庭が見えて、開放感があった。「立派なホテルやなあ」と思っていたら、紅茶が運ばれてきたんやけど、ティーバッグが入った紅茶が出てきて、驚いたわー。

ホテルの喫茶店って、おねだんもするしやな、あんまり利用したこともないし、紅茶をたのんだら、ポットに入った茶葉の紅茶が出てくるもんやとばっかり思いこんでいたから、それはギャップ萌えやったで。ちょっと衝撃やったわ。

お茶を飲みながらお話をして、なんか終始ミン先生は足を組んでいて、クールやったわ。そのあとで、なんか池のある公園、寿城湖やったんかな?を散策した。今思えば、ミン先生は、こんな得体のしれない日本からひょっこりやってきた若者に、ほんとうに善意で、「どこにつれていったやろうか。めんどくさいな」と思いながらも、テグのいいところを選んで、案内してくれたんやなーと思う。もういっかい、ありがとうございます。

それからミン先生が「そろそろ、大学にもどらなあかん」いうたんかな。
ほんで、車に乗せてもらって大学に向かった。大学はテグ市内から車で30分ぐらいはしった慶山っていうところにあったんやけど、ミン先生が思い出したように、「うちのゼミに日本人の留学生の女のこがひとりおるよ」いうんや。「きょうは授業があるからたぶん来とるやろ。会うたらいいわ」っていうことで、大学に到着して、学課のたてものにはいって、廊下を歩いて、ミン先生の研究室に連れていかれたんやな。

ほんで、そこで、まゆ先輩とはじめておうたんや。

ミン先生が、「あ、おった」いうて、ワイをなんか作業している小がらなショートカットの女性の前に連れていくと、
「まゆさん、このひと、日本人やで」いうて、ワイを紹介してくれた。
そしたらまゆさんは、目を大きく見開いて、

「イルボンサラム!」

っていうたんや。それがなんかおもしろくてなー。
だって、そんなこと、生きていてなかなかないやろ?
はじめてあった人から、目を丸くして、
「日本人!」
っておどろかれるなんて。
しかも、韓国語で、言うてる当人、日本人やで。
なかなか得がたい経験やった。

それで、「こんなところで日本人に会えるなんて思ってなかったよ―」みたいなルンルン・モードになって、じゃあ、ひと段落ついたら、構内を案内しますよ!
ってことになったんや。

そう、いまこれを書いている時代は、日本の若い人たちの間で韓国はけっこう人気あって、格安航空便もあるから、ソウルに行ったり来たりしている人も多いみたいやけど、そのころは、多くの日本人はあんまり韓国に興味がなかったんやな。
インターネットもないしリアルタイムの韓国の情報が入ってくることすらあんまりなかったし、なにより、日本より「遅れている」っていう認識があって、韓国語(朝鮮語)を習ったり、留学したりするといえば、「なんで韓国?」って確認されがちだったころなんや。
そんな時分に、女性で単身、しかも首都ソウルではなく地方のテグのそのまた郊外の大学に留学してるっていうまゆさんは、かなり珍しかったやろうし、しかも学科が「美学」やで。なにそれ。へんやろ。東アジアの歴史上でもかなりへんな部類やと思うわ。自由な感じがしてよろしい。ワイも美学科卒やけど。ちょっとあたまのいかれた日本人がテグでぐうぜんで出くわしたんやな。これを奇遇というんやな―。

そして、作業がひと段落したまゆさんがやってきて、もうひとり、おともだちかな、きれいな顔立ちの、韓国美人というのかなあ、名前忘れたから「色白韓国美人さん」と名付けようか、三人で、大学の構内を散策しにいったんやー。

(つづく)




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