※前回までのあらすじ※
「ときめきが見える眼鏡」を発明した山口さんに連れられて
ファミレスに人間観察に出かけたワイ。
ときめいていそうな人なのに、
ときめきのハートが見えないとき、
「誤作動だ!」
と主張する山口さん。
「100%誤作動とは言い切れないのでは?」
というワイ。
そんなワイに、山口さんが、
「100%誤作動だと確信できるときがある」
といって例を話してくれた。
それは・・・
※前回までのあらすじここまで※
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「エビフライからハートが出ているときがありましたんや。」
「ええ?!」
「ウェイトレスさんが運んできたお皿のエビフライから、ハートがばばばばばって出てましてん。」
「え、エビフライから、でっか?」
「ああそうです。タルタルソースかかってましたわ。」
「ははあ。 それやったら、誤作動ですわ。」
「そうでっしゃろ?」
「だってね、エビフライがときめいてるわけがないですからね!
エビフライなんてね
海でのんびり過ごしていたのに
むりやり拉致されて
冷たい氷につけられて
ぎちぎちに詰めこまれて運ばれて
生きたま首をねじりちぎられてころされて
全身の殻をむかれて
手足をぜんぶもがれて
塩コショウ振られて
卵液なんかにひたされて
パン粉をまとわされて
180度の油で揚げられて
キャベツの千切り添えられて
タルタルソースかけられて
仕上げにパセリのせられて
これからまさにたべられようとしているのに
そんな状況でときめいてるわけがないですからね。」
「そうでっしゃろ?100%誤作動でっしゃろ?
エビフライだけじゃありまへんねんで。
ほら、ミャーの例だって。
あれも100%、誤作動やさかいに。」
「いや、あれはべつに正作動・・・。」
そのときである。
「うお!」
と山口さんが目をまんまるにして声をあげた。
なんや!?と、山口さんの視線の先に目を向けると
「おお!」
とワイも思わず声が出てしまった。
みっつ向こうのテーブルで一人の女性の頭頂から
ものすごい勢いでハートが出つづけているのである。
「なんですか、あれ?」
「あの娘がいま、なにかしらに、はげしくときめいている。
もしくは、この眼鏡がいま、はげしく誤作動している。」
その若い女性はテーブルにひとりで座っていて
ちいさなノートパソコンを広げいた。
「大学生でしょうか」
「文学部のたたずまいやな」
「レポートでも書いているんでしょうか」
「うむ。スタディ・ハイの状態なのかも」
化粧っ気のない端正な顔立ちで
ながい黒髪で、めがねをかけている。
視線はパソコン画面から動かないが
なんだかつまらなそうにも見える。
「表情を見る限り、ぜんぜん、ときめいてはなさそうですが。」
「うむ。あのドリンクがものすごくおいしいとか?」
遠目で見るぶんには、とりわけ、ときめいているふうではない。
それなのに、その頭からは途切れることなく
ぴろろろろろろろろろろろろろろろろろろ
と、ハートが出続けているのであった。
「見た感じとは不釣り合いにハートが出てますな。」
「なんなんでしょうね。」
「なんなんやろね。」
と、ワイらがその若い女性に注目していると、
そこに丸いおぼんを持ってせわしなくホールを動きまわっていたウェイターの若い男が
いったんしゃがみこんで、床におちていたゴミかなんかを拾ったようであった。
それから、その若い女性のテーブル横を通り過ぎた。
その時、ちら、と若い女性は、ウェイターに視線を向けたように見えた。
と、その瞬間である。
女性の頭頂から
どどどどどどどどどどどどどどどど
と爆音が聞こえるぐらいの見たこともない大量のハートが
大噴火よろしくものすごい勢いで吹きあがって
ファミレスの天井にぶつかって四方八方に飛散した。
「ええええええええええええ」
「なになにーーー?どういうことーーー???」
(つづく)




