やまもとさんはいつもにこにこしているのであった。
やまもとさんは「感謝、感謝」といって日々を過ごしているのであった。
やまもとさんは高校を卒業するとお花屋さんではたらいて
「感謝、感謝」とにこにこしてすごしていた。
やまもとさん以外のスタッフは
「じきゅうがひくいし、なにより、こきつかわれる。
パワハラ、モラハラ、セクハラ。最低の職場でした。」
といってすぐにやめていったが
やまもとさんは
「え~、○○さん、やめないで~。
わたしはお花がすきだから
まいにちお花をみながらすごせて
感謝、感謝。」
とにこにこしていた。
「やまもとさんがおらんかったら三日でやめてたわ」
といいながら、スタッフはくるくる入れ替わった。
お花屋のご主人はやまもとさんがあたりまえだとおもっていて
すぐにやめるスタッフたちになげいて
「ええのがおらんのう~」
というのがくちぐせだった。
「自分のお店がいまいち上手くいっていないのは、すべて従業員がわるい」
とおもっていた。
そのうち、やまもとさんは遠い町の親戚のおばさんが老人ホームに入って古民家が空いたということで
その古民家に移り住んで、じぶんで小さなおはなやさんをはじめることにした。
やめたいというやまもとさんに、お花屋のご主人は
「ま、もっとええのがすぐにみつかるじゃろ」
と思ってとくにひきとめなかった。
しかし、いつもこにこしているやまもとさんが気に入ってはいたので、
「独立するなら、がんばりや。
でもな、花がすきなだけではうまくいかんで。
商売はあんたが思うちょるような甘いもんやないからな。
でも、なんかあったら相談しにおいで。力になるで。」
といった。
やまもとさんはお礼のプレゼントをわたして、にこにこ感謝してやめていった。
さて、古民家にひっこしてきて、お花屋さんをはじめて、やまもとさんはかわらずニコニコしていた。
黒い猫を拾ってきてかいはじめて、にゃんたとなづけて
「にゃんた、にゃんた、にゃんたにあえてうちはしあわせじゃ。感謝、感謝。」
といってまいにちをすごしていた。
そして、老人ホームにいる親戚のおばさんもたびたび訪ねて、
「感謝、感謝、おかげで花屋ができています、
こうしておばさんにもたびたびあえて、しあわせじゃ」
といっていた。
それで、おばさんも、姪のやまもとさんがすきであったが
おばさんは、キュートアグレッションというか
にこにこしているやまもとさんに意地悪をしたくなって
「あんたー、しょうばいがうまくいっちょるらしいわあね。
ほんじゃあ、ちいとは、家賃払いーさんね。
商売がうまくいっちょらんのじゃったら、あたしはなんも言わんよ。
あんたに家を守ってもろうちょる部分もあるけえねえ。
それでも、あれはわたしの家よ。
あんたが商売ができちょるのは、わたしの家をつかわせてあげちょるおかげじゃろ。
もうかっちょるんなら、あんたの気持ちを見せてほしいねえ。」
といった。
やまもとさんは
「あッ」
といって、
「おばさん、お金がほしいんじゃな。」
といった。おばさんは、
「金をくれ、いうちょるんじゃない。気持ちの問題じゃ。」
やまもとさんはケラケラ笑って、
「おばさん、あたしもおかねないんよ。でも、
うち、おばさんすきじゃから、できるはんいで、あげよういね。」
といった。
「ええい、あんたがもうかっちょるんならよ。気持ちをみせーさん、いうだけじゃ。」
「でも、いわれてみりゃあ、そうじゃあね。おばさんのおかげで、うちは商売ができよるんじゃけえ。ありがとね、ほんとに。おばさんがお金がいるんなら、あげよういね。次からいくらか持ってきちゃげようね。でも、あんまりないけえね。ない袖は振れんけえ。気持ち、出せるぶんだけね。あんまり期待されても困るよ」
「ああ、もう、金はいらん。あんな家賃なんて、ものの数ではない。あんたがすきに使って、しっかり稼ぎんさい。」
「いや、やっぱり気持ちばかりはあげるいね。もらってーよ。あたしのお花屋さんがうまくいって、それでおばさんもうれしいほうが、ええわあね。」
そういってやまもとさんはニコニコしているのであった。
つづく






1件のコメント
いつでもニコニコしている山本さんは素敵なひとです。
いつも感謝を忘れないところも素敵です。
キュートアグレッションといえば聞こえはいいけど、いじわるです。でも、その意地悪にも感謝の対応見事です。
そんな人になれたらいいなあ。
感謝を忘れずいつもニコニコ生きていたい。